私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

86、癒えない

宇多田ヒカルの曲が好きだ。

正確に言えば、彼女が一時音楽活動を休止しそして子を産み、母親をあのような形で亡くした後の彼女の曲が好きだ。

どこか孤独のエッセンスを加えた前向きな曲や希望を散らした願い事、それは歌詞も然りだがメロディーや楽器の旋律もたまらなく惹かれる所が多い。

 

元々彼女の曲は聞いていたが、そこまで入り込むほどでもなかった。

しかし私が3度目の流産をし、打ちひしがれてる時に彼女の

『真夏の通り雨』

という曲が流れてきて、その瞬間に自分の気持ちをそのまま代弁されてるような、しかも曲に包まれて浄化されるような不思議な気持ちに包まれた。

 

~夢の途中で目を覚まし 瞼閉じても戻れない さっきまで鮮明だった世界 もう幻~

 

ちょっと前まで自分のお腹にいる子供が空へ行ってしまった私には撃たれるような導入だ。

 

~揺れる若葉に手を伸ばし あなたに想いを馳せる時 いつになったら悲しくなくなる 教えて欲しい~

 

そのままだった。

 

そして曲の後半。引き込まれるループの中で連呼する。

 

~ずっと止まない止まない雨に ずっと癒えない癒えない乾き ずっと止まない止まない雨に ずっと癒えない癒えない乾き~

 

涙が止まらなかった。雨が降るような情景なのに、涙がとめどなく溢れて止まらないのに、心が乾いてカラカラで仕方がなかったのだ。

 

彼女の人生もきっと物凄い大変なことで溢れているのだろう。

それは時に映像に現れる彼女の表情や、人への距離感でものすごく伝わる。

自分自身には子供を授かり、よくわからないままに一生心に掴みかかる形で母親との別れが訪れた。

想像もできない。

 

私はその後の彼女の曲をまるで実験を行ってるかのように聞き入った。

そして彼女の『詩』をまとめた本も買ってみた。

歌の歌詞ではないと感じるものが多かった。きっと英語が主流の彼女にとって『歌詞もメロディー』なのだと思った。

 

孤独を纏った輝く人が好きだ。

ただただ『頑張れ!』『夢は叶う!』とでっかい声でいてる人間よりも囁くように歌うように気持ちを落とし込めて押し付けない人が好きだ。

今週はずっと曇り空。孤独の蔓延するこの国で生きていくにはこの孤独と友達にならなくてはならない。

 

彼女の様に歌で、他にもダンスや演劇、文章を書き絵を描きモノを創造する。そうやって孤独であることと向き合って認めているものが私には今とても眩しく美しく写る。