話は現在に戻る。
久しぶりに厄介な暗闇くんが随分と居座っていて、その上違う顔を度々覗かせてくるのだ。とにかく訳もなく泣かせてくる日。矛先の不明な怒りが頭の靄をフツフツと湧き上がらせようとする日。何もしたくないし、誰にも会いたくない日。底のない自信喪失の穴蔵から出てこれない日。消えてなくなりたい。どこか遠くへ行きたい。
そう。自覚症状のあるうつ病なのだ。
実はうつ病というものはこうして文字なり言葉に発すると少し楽になったりするものである。周りの家族以外に「私、うつなんだよね。」なんて言えてる時はそれは最早うつではないのだろうと思うけど、自分でこっそり告白したりするとちょっとだけ暗闇くんが嫌な顔をするのだ。だから、今はこうして書き記す。
私はうつ病です。
今日はそこまで悪くない気分。割と寝れたし歌を歌いたいと思うくらい自発呼吸ができている。けれど、せっかく減薬できていた抗うつ剤を否応なくまた戻さなくてはならない状況にある。
先日『うつヌケ』という漫画を見た。ココリコの田中さんがドラマをやっていて気になっていたタイトルではあったのだが、その時は、我が暗闇くんはどこかへ行っていたので見ようとは思わなかった。むしろ見るのが怖かった。暗闇くんの取扱説明書を見る事でそっちに引っ張られてしまう気がして。
雨がザーザー降る午前中にお気に入りの場所でその漫画を手に取った。様々なうつを体験し打破したり上手くお付き合いしている人々の体験談が描かれてる訳だけど、症状や感じる事に共感する部分は多々あるものの、自分と重なる事案はなかった。
そりゃそうか。皆、それぞれ大変な思いをされてるしその人の立場になって体験しないとわからないことだろう。彼らの心の奥までは誰にも理解できやしない。しかも一年半という短期間に3回流産をして3回手術をしてる事案なんて出てくるわけがない。
『共感』ってなかなか難しいものなのだ。人から見れば私は恵まれてるのかもしれない。よくそのように人は他人との比較をして何かを取り戻したりするけど、それって如何なのだろう。
「もっと大変な人はいるんだよ」
なんて言葉にはなんの意味もないし、だからがんばれっていうのはそもそも上から物事考えてるから言えるのではないかしら。
私も何度もこの言葉を耳にした。
結果、余計辛くなるだけである。この言葉はどうか誰にもかけないでいただきたいと願うばかりだ。