私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

2、育たない

一度目の妊娠は四年前だった。
結婚してちょうど一年経とうとしている時。
ドラマでしか見たことのなかった妊娠検査薬を使用した時のテンションときたら物凄く、陽性反応が出た時なんて黄色い声を出した。一人で。そんな声普段では絶対に出せないのに。
嬉しくて未来がパァーッと開ける感覚。心があったかく、ジーンと満たされる感覚。何度も何度もその検査薬を見返してはこの先の事を想像し心踊らせていた。キラキラしていた。


『私もお母さんになるんだ。』



しかし、初めて我が家にやって来ようとしてくれていたその子は心臓の鼓動を鳴らすことなく空へ帰ってしまった。

あの日の産婦人科の暗い診察室。普段では絶対に人前ではしない格好でモニターを見ながら違和感を感じた空気感は今でも吐きそうなくらい覚えてる。

人間の脳は厄介だ。
時々やってくる「暗闇くん」のようにその時の記憶に寄り添っていた情景や音楽や空の色は今でも忘れられずに何かのきっかけでブワ~っと吹き出るように頭と心に浸透してくるのだ。しかもヘラヘラしながら。
ほら、これ、思い出すでしょ?みたいな顔で。
鼓動が早くなって息ができなくなる。
この脳みそごと洗濯できたらいいのに。大人になって本当に切にそう感じる。

今でもその1回目の診断は鮮明に焼きつき、夢にも出てくるほどにこびりついている。帰りのバスを待っていた時の感覚。
お腹の中に亡くなった自分の子供がいる。哀しさを遥かに超えていた。
何本のバスを乗れずに眺め過ごしただろう。

家に帰ってこれもまた、出したことのない声を張り上げて号泣した。
身体中が痛くなるまで泣いて泣いて叫んだ。