次の日の夕方に手術を終え、しばらく安静にした後旦那の車で自宅に帰った。
この空気感も3回目。慣れたものだ。
流産し、その子がお腹にとどまっている状態で行う掻爬手術というものを受けた後、何日間か子宮を元の大きさへ戻す収縮剤というものを飲まなければならない。
これは普通に妊娠、出産した人もお産後に飲むものらしくそれもまた精神的にもとっても酷なことだった。その薬には『妊娠中は禁忌』的なことがデカデカと大げさに記されていて、心の中では『なんて嫌味な』と思ってたものだ。
『妊娠中にこれを飲む人がいるのか?間違えて?それともわざと?だったらどっちにしろ親になる資格なんてねーよ』
なんてことまで思ったりして。
特に私にはこの薬がどうやら合わないのか、飲んで2時間ほどすると両足の内側にグイーっと針金でも入れられたような状態になり足が曲げられなくなる。その上お腹も腿の内側にも謎の激痛が走るため2、3時間は歩くことが困難な状況が続くのだった。
逆に言えば「心の痛み」を感じてる暇がない「体の痛み」に耐え抜く数日間。飲めば楽になる薬じゃなくて飲めば痛くなって苦しくなる薬が存在するなんて思ってもみなかった。
この歩けない時間だけはどうにも何もできないので横になってると勝手にツーと涙がこぼれた。
泣きすぎて、もう、濃度の薄い涙。薄くて落ちるのが早い涙。色のない味のない涙。
「私は、親になれない」
見上げた天井にそうハッキリ書いてあった。
この部屋でどれだけ泣いて叫んだだろう。
1回目2回目3回目とお空へ行った子供たちに会いたいと思えば思うほどその部屋にいるのが苦しくなって、過呼吸を起こすことが増えた。
消えてなくなりたい。