私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

16、戻らない

決定的な指針が定まったわけではないけど、もう一度。もう一度だけ頑張ってみよう。という気持ちが出て来ていた頃、3回連続、しかも短期間の間に妊娠→流産→手術を繰り返していたために身体がとにかくボコボコに破壊されていて、体重は元より5キロ以上落ちていた。

物を口に入れてもすぐにお腹がいっぱいになってしまい、一時期はスープさえも飲めずに苦しんだ。

不眠も相変わらず続いていたためにもう色々限界。『寝れない』『食べれない』はとにかく一番しんどいし生きていくエネルギーが全く補充できないでいた。そんな身体が辛くて悲しくて泣く。その繰り返し。

食べる事が大好きで仕方なかったのになぁ。

 

よし。とりあえずはこの身体を治すことに専念しよう。きっと心はそこにまたゆっくりとついて来てくれるだろう。

そう思い、整体、鍼灸院にまずは身体を見てもらう事にした。

 

通い始めた整体の先生は、父が紹介してくれた人だった。もうとにかくゴッドハンドとも言える人で先生が手を当ててくれる部分はあっという間に温まり、お腹なんてグルグル言いまくるくらい。沢山のスポーツ選手や著名な人も診ている方だ。

現在は通い始めてもう3年弱になるので色んな話をするようになったのだが、私がその整体院に通い始めた時はとにかく屍のような状態で内臓が『沈黙』していたらしい(笑)。

忙しい先生なので1ヶ月に一回での施術なのだが、先生に診て貰った後しばらくは本当に体の調子がよく、食べれなかったものが食べられるようになったのだ。まぁ、最初の頃はまたすぐに食べれなくなって

『先生ぃ~まだ日にちが遠いよお~』

と心待ちにしていたものである。

 

この先生に言われてとても納得した言葉。

「一回骨折したところを、治らないままそのあと立て続けに更に二回骨折を繰り返したようなものだよ。治るには時間がかかるしそう簡単には戻らない。妊娠するってのはものすごい体のすべてのエネルギーを使う事だからここまで壊してもおかしくない。急げ急げっていう病院の先生方の学術的な進言はわからなくはないけど、急いだってダメだったんだからもう焦ることはないんじゃないかな。」

 

という事。ものすごい腑に落ちたのだ。

割とあっけらかんとしてる先生だからこそ素直にこの言葉は私の中に入って来て、今も尚、一つのフラッグ的役割をしてくれている。ありがたい出会いの一つだった。

 

この整体院には3年弱たった今も通っている。

体が完全に戻るなんてことは当たり前であるが、普通に老化も共に進行しているのだから難しいことだけど、最後の搔爬手術をして3年ちょっとたった今、ようやく正常に動き出してきた様な実感がある。

相変わらず暗闇くんとちいさなおっさんと共存しながら、原因不明の「急に食べられなくなる時期」がたまに到来するため齷齪とメンテナンスを続けているのだが、どこかがおかしくなってもまた元に戻るまでの時間が短くなってきている。

一度ぐちゃぐちゃになってしまった体の細胞がゆっくりと、そりゃあもうゆっくりと正常なところに戻ろうとしてきている今日この頃。

 

人間、「寝る事」ができて「食べる事」ができれば何とか生きていける。

この二つが削がれた時、生きる気力はゲームのキャラクターの瀕死状態の様にみるみる減っていき真っ赤になって息絶える。