私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

24、申し訳ない

去年、とある情報番組内で一時期インスタグラマーで人気を博しテレビにも多数出ていたGENKINGさんが久々に出演しインタビューを受けていた。

今どんな生活をしているか、テレビ出演がなくなっていたのは何故なのかを語っていた。

彼女はタイで性別適合手術を受け、戸籍も女性になったという。

現在、事実婚状態にいるパートナーがいてとても幸せそうな顔をしていた。良かったなぁ、なんて思って微笑ましく見ていた。

しかし、語っている途中でなぜ戸籍上も女性になったのに彼と結婚をしないのか?と尋ねられると顔を曇らせ、目を潤ませながら語った。

 

「郊外のショッピングモールや夕方のスーパーに行けないんです。子連れの人たちを見ると辛いし、彼に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。彼を縛り付けたくないから結婚しないでいる。」

と。

心からその気持ちが理解できる私は涙が止まらなかった。

ショッピングモールや夕方のスーパーは私もしんどい時には地獄でしかなく、バイオハザード状態である。

次々とゾンビが現れるゲーム内のダンジョンのようなのだ。

彼女は、性同一性障害でずっと苦しみながらもそれを盾に頑張ってきていたはず。

でもいざ、大事な人と出会い将来を目の当たりにした時、自分が子供を産めないという事実にどれだけの空虚感と理不尽さと複雑すぎる感情を抱いたであろうか。分かっていたこととは言え、その事実を目の当たりにしてどれだけの大きすぎる壁の前で立ち尽くしたであろう。

パートナーの彼はそれでもいい、と言ってくてるらしいがその言葉がまたとても辛かったと思う。今はそれでいいと思っても、どうなるかわからないという不安。

 

近頃では磯野貴理子さんの話題もあった。大分年下の旦那さんと一緒になり、子供はもう産めない事を了承していたはずの旦那さんが取り巻く周りの人たちの影響を受けて、自分もやはり自分の子供が欲しいと切り出したという。

何も言えずに「そうだよね。」と言って別れを決めたという。

彼が悪いとは言い切れない。その気持ちもよくわかる。

ただ、自分がパートナーを変えたとして必ずしも子供が授かると思い込んでるのなら大間違いであるぞ、とは言ってやりたい。

問題を彼女の年齢のせいにだけ押し付けて自分は全く問題ないだろうから、他の誰かと子作りをしたいと・・・・・。なんて辛い話だ。辛すぎる。

 

GENKINGさんも貴理子さんもそこには『申し訳ない』という気持ちが大きく立ちふさがっていた。

 

私は旦那にもうすでに前妻との子供がいる事で、そのあたりの気持ちは確かに若干はマシかもしれない。申し訳なく思うのはこうやって拗らせてる状況の方だろうか・・・・。

一番申し訳なさを感じたのは両親に対してである。

一人っ子である私が親にならない限り、彼らが祖父母になることはない。

 

まだ、流産をする前の時には普通に軽く

「女の子の方がいいなぁ」

なんて父は話していた。私も

「そうだねぇ」

なんて普通の会話をしていたものだ。

流産を3回繰り返し、体も心も壊れた私を見るようになってからは、

 

「大事なのはあなたなんだから、もう苦しまないで欲しい。孫なんて別にいらない」

 

と言うようになった。それも本心だと思う。沢山私が壊れてるところを見せてしまった。いい歳して沢山心配させて迷惑をかけてしまっている。

 

でも心の中でまだ、

『孫の顔を見せてあげたい。見せてあげられなくて申し訳ない』

 

と言う気持ちはずっと私の中でこびりついたままである。

 

正直、この『申し訳ない』と言う気持ちが女にしか存在しないというのもどこか腑に落ちない。

でも、申し訳ない。自分は壊れ物だ。普通とは違うのだ、と考えてしまうのだ。

そう考えさせられてしまう世の中の空気がまだまだ蔓延している。

 

どうかGENKINGさんや貴理子さんがそのこびりつく気持ちから少しでも開放されて幸せを感じる場所や出来事に沢山出会えますように・・・。