今期、一番入り込めたドラマ『死にたい夜にかぎって』が終わってしまった。
賀来賢人さんの絶妙な表情や動きには引き込めれまくったし、わがままでどうしようもなくイライラ映るはずの女性を「可愛くて仕方がない」人物に演じ上げた山本舞香さんもこれからもっといい女優さんになるんだろうなぁと思わされた。
最終回、躁鬱病と閉所恐怖症をそれぞれ持ち合わせている二人が震災をきっかけに6年間の関係を終わりにするのだが・・・。
とても切なかった。
別れ際もどこかカラッとしてて冷めきってるように見えた彼女から渡された最後にもらった手紙。
『6年間お互いに時間の無駄だったね。マジで。でも最高に楽しい時間の無駄遣いだったよ。ありがとう』
と言うラストが心に刺さった。
最高の無駄な時間なんてそれこそが最高に贅沢な時間だよなぁ。となんだか久しぶりに自分の今までのことを思い出したりもした。
大人になればなるほど、生きる意味や目的をはっきりさせないといけなくなる。
そうしていなきゃダメだと、必然的に思わされる。
げんに私は音楽に情熱を向けていた時にタイムリミットに縛られて『結婚して子作りをして出産して親になって家庭を作って行かなきゃいけない。だってそうしたいから』と、先に自分に時間割を作ってしまった。
きっと大人はみんなそうして行かないと不安になるから先を見据えないと今現在の時間が無駄になる。と言う観念に覆われてしまうのではないだろうか。
実際にそうである事を痛いくらいに実感していく。
若ければ若いだけ、『今、その時、どう思うか』で行動する、できることが多い。
だからと言って現在問題になってる
「コロナなんて自分には関係ないさ~今を生きなきゃ」
と言ってるのはただのバカでそちらの類は置いておこう。
私にも思い出すと最高に無駄な時間だったなと感じる付き合いがあった。
でも不思議と嫌な思い出がない。当時はあったんだろうけど、過去になってるその時間に後悔がなく、この作品の手紙のように最高に楽しい時間の無駄遣いだったからなのかもしれない。
なんだろう。あの、好きなのにサヨナラしなきゃいけない時の胸をガシッと掴まれるような気持ち。
当たり前のように最近では全く感じないあの甘酸っぱい気持ち。
今、こんな時だからこそ何だかその懐かしい感情に一瞬だけど物凄い救われた。
愛と恋の違いって一体何だろう?なんてこれこそ若さたっぷりの話題を、酒をかっくらっては友人たちとよく話したりもしていたが、この「甘酸っぱさ」は絶対に恋にしか存在しない。
愛とはなんぞやということは日々生きていく中でゆっくりと書き込まれていってる気がするのだが、逆に今、恋ってなんだろうって思いかえすことが久しぶりで何だかすごく擽ったくそちらの方がもう遥か遠い感情だなぁ。なんておセンチな気分にもなった。
心の病の重い部分とコミカルな日常と人間のしょうもなさと素晴らしさと、そしてそんな若さや恋の甘酸っぱい空気を一気に盛り込んだ、素敵で奥深い久しぶりに自分の中では名作ドラマだった。
是非多くの人にみてもらいたい。
そして私は原作を読んでみたいと思う。
ああ。恋か。
私が『妻』でもなく『親になりたい必死な人間』でもなく将来の心配なんて何となくしかしていないただの女子だった頃。
懐かしい。
あいつも、あいつも元気してるかな(省略。)